2026年大学入試“浪人生増加”の衝撃

「少子化で受験さえすれば大学に入れる状況かつ現役志向により、浪人生は減っていく。」

ここ数年、大学受験界ではこれが常識でした。 少子化が進み、今や「大学全入時代」。かつてのような「一浪してでも難関大へ」という価値観は薄れ、「現役合格志向」が定着しています。親の経済的負担や、大学側が推薦・総合型選抜(AO入試)を増やして現役生を“早期囲い込み”したことも、この流れに拍車をかけました。

実際、共通テストでも既卒(浪人)の受験者は減り続け、「浪人はコスパが悪い」「大学は現役で行くもの」という空気は確実に広がっています。

しかしながら、2026年度の入試では一転して、難関大学を目指す層の浪人生は増加しています。一部の大手予備校では定員を超え、急きょクラスを増設する事態にまで発展しています。

この記事ではなぜ、北海道大学などの難関大学を目指す層の浪人生が増加したのかを記載しています。最後に、道内トップ公立高校(札幌南、北、西、東、旭丘)の進路実績やヒアリングをもとに、浪人割合なども含めて、現役生の進路目安も示しています。

難関大学の一般入試枠の急減(推薦・総合入試枠の増加)

最大の理由は、大学入試の構造変化です。現在、多くの私立大学では、総合型選抜(旧AO入試)や学校推薦型選抜、さらには付属校・系列校からの内部進学が急増しています。すでに私立大学では、入学者の約6割が年内入試で決まります。国公立大学もここ数年で推薦枠・総合型枠が年々増加しており、この傾向は続きますので、私立大学の話だけと捉えるのは早計です。

推薦枠・総合型枠を増やすことは、大学側にとっては合理的な戦略です。少子化で受験人口が減るなか、「確実に入学してくれる学生」を早めに確保できます。一般入試は歩留まりが読みにくく、辞退率も高く、大学経営の観点から見れば推薦・総合型選抜のほうが安定し、しかも一般入試枠が難しくなるので偏差値も上げれるから難関大学のブランドを維持できるからです。また、入試の多様化は、大学が学生の多様化を求めていることも反映しています。推薦組や付属校出身者は一般入試組と比べて偏差値的には劣るものの、自律的な学びの姿勢があるため留年率が低く、大学への愛校心も強い学生が多いため、大学にとって多様な人材を確保する流れは合理的な動きではす。

その結果として起きたのが、「一般入試枠の激減」です。たとえば定員100人の学部があったとして、推薦・総合型・内部進学が従前は30人だったのがで60人となれば、一般入試枠は40人しか残らない。当然、一般入試の倍率は上がり難易度が上昇します。つまり現在は、「一般入試の受験生が戦う席だけが急激に減っている」のです。

この変化によって、特に難関私大の一般入試難易度は上昇しています。数年前であれば「北大志望ならMARCHなら法政、関関同立で立命なら十分滑り止めになる」と言われた時代もありました。しかし、今は事情が全く違います。大学も早期囲い込み・獲得が優先となるため、年内の推薦・総合型の受験者が増えれば、一般入試枠の合格者数を絞らざるを得なくなります。特に今年度は、この傾向があり実際に一般入試の合格者数を急きょ絞った難関大学もありました。

北大受験生にとって、早慶はもはや併願先の対象にさえできず、MARCHや関関同立ですら上位高はおろか、簡単には受からなくなっています。道内の進学校では、かつて「北大ボーターの受験生なら理科大、同志社が滑り止め、法政・立命は安全な滑り止め大学になる。」という感覚がありましたが、その認識は完全に崩れています。「北大ボーダーの受験生は、法政・立命も滑り止めにならず貫通するかも。」という感じになっています。

実際に、理科大・同志社を滑り止めとして考えるのはかなり危険であり、法政大学や立命館大学まで受けている生徒も多いですが、残念ながら落ちている生徒も少なくありません。なお、北海道の公立トップ校では、立命館より下の関西大学や関西学院大学はそもそも受験しない生徒が多いです。首都圏・関西でも国公立の併願先の私立は、法政・立命館までとしている学生が少なくありません。

北大志望者の典型例は、

  • 第一志望:北大
  • 私立併願:理科大・明治・中央・法政、同志社・立命館

という構成になっています。

だが、2026年では北大に届かず、私立も全て落ちる結果になった生徒も少なくなかったです。

一方で、北海道内の私立大学を見ると、状況は真逆です。道内私立大学では、定員割れやボーダーフリー化が進み、推薦・総合型選抜だけでなく、一般入試でさえ「出願すればほぼ合格」という大学も少なくないです。

「大学には入りやすい時代」という言葉は、全体論としては正しいですが、それはあくまで“大学全体”の話であり、受験生人気が集中する難関大学群では、一般入試ではむしろ競争は激化しています。

共通テスト難化で「滑り止め」が消滅

浪人生増加の第二の理由は、大学入学共通テストの難化です。現在の共通テストは、かつてのセンター試験とは別物と言っていいくらい難しくなっています。センター試験時代は、「知識を正確に覚えれば点が取れる試験」でしたが、共通テストは、読解力・思考力・情報処理能力を強く求める試験へと変化しています。しかも、国公立受験をする人は教科数が増えており、私立文系の人と比べて負担が大幅に増えています。

どの教科も極端に長文化し、「読む量」が膨大になり、数学も単純な公式暗記では通用せず、条件整理や情報処理が必要になっています。受験生からは、「時間が足りない」という声が続出しています。

このような状況の下、大学受験は、この共通テストが国公立大学受験だけでなく、私立の共通テスト利用方式とした入試に使われており、共通テストが“大学入試の土台”になっていることです。

北大志望者が共通テスト利用でMARCH・同志社・立命を押さえたいところですが、共通テストが取れなければ一気に全滅します。一般入試枠が減少しているので尚更です。これは特に北海道の受験生にとって深刻です。地理的要因から、首都圏・関西圏の私大受験には移動費・宿泊費がかかり、「共通テスト利用で滑り止めの私大を確保する」ことは極めて有効だからです。

共通テストが取れなかった場合、北大志望者が小樽商科大学や地方国立に志望校を下げることもありますが多くはありません。北大のネームバリューにこだわりたい、札幌より地方に行くことに抵抗感がある生徒が多く、北大に初志貫徹する生徒が多いのが実情です。2026年の入試では札幌南高校の現役生は北大前期には96名受験して合格は49名であり、北海道トップの南高生でも半分は落ちています。なお、小樽商科には2名受験して2名とも合格しています。

北大から下げるくらいなら、お金がかかっても私立に行くor浪人する覚悟がある生徒が多いですが、共通テストが悪いと、負の連鎖が起きてしまいます。

  • 北大不合格
  • 私大共通テスト利用も不合格(理科大、法政、立命不合格)
  • 私大一般枠難化により不合格(立命後期不合格など)

一方で、目を転じると深刻な少子化により、大学全体では定員割れを起こす学校が急増しています。特に北海道内の私立大学においては、「受験すればほぼ合格できる(全入状態)」という学校が少なくありません。

しかし、だからといって受験が楽になったわけではないのが恐ろしいところです。北大などの旧帝大や国公立医学部、そして早慶・MARCH・関関同立といった首都圏・関西圏の難関私大の人気は衰えるどころか、むしろ競争が激化する「二極化」が進んでいます。

札幌トップ公立高校の【現役】進路(目安)

各校の進学実績、生徒へのヒアリングなどをもとにした推測も入っている目安です。あくまで目安として捉えてください。札幌トップ校の受験生は「全入状態の道内私立」を最初から視野に入れていないケースがほとんどです。「北大ボーダーかやや下。滑り止めの私立一般も難しいしお金がかかる。浪人はしたくないから地方国立、でもやっぱり北大を目指す。」という声が少なくありません。

 札幌南札幌北札幌西札幌東札幌旭丘
東大・京大
国公立医学
2割1割5人数人数人
早稲田・慶應
旧帝・北大
4割4割2.5割2.5割1割
MARCH
関関同立
小樽商科
1割1割1.5割1.5割1.5割
地方国立
(教育/工大他)
1割2.5割2.5割2.5割3割
道内私立・他数人数人1割2割2.5割
浪人2割1.5割2.5割1.5割2割