北海道から関西の大学に進学するというと、「そんなに行く人いるの?」と驚かれることが少なくありません。しかし実際には、北海道の上位高校を中心に関西進学は確固たる選択肢として定着しています。
たとえば、北海道トップ校の札幌南高校では約2割(約60名)もの生徒が関西の大学へ進学します。数字で見ると、その“多さ”に驚かれる方も多いのではないでしょうか。北海道全体で見ても、関西の大学は「学びの特徴」「進路の広さ」「都市としての魅力」などにより、年々存在感を高めています。
本記事では、京大・阪大・神大・大阪公立大・関関同立といった関西の主要大学に焦点を当て、
なぜ北海道から関西へ進学するのか、各大学の魅力は何か、メリット・デメリットなどを解説していきます。
関西の大学を選ぶ理由
北大を上回る・匹敵する大学が豊富
関西には、全国的に評価の高い有名大学が多くあります。
北海道、東京と違っての魅力は、やはり有名国公立大学の豊富さではないでしょうか。
北大を上回る京都大学、大阪大学があり、トップ高の生徒にとっては選択肢の一つになります。
関西では、京都大学>大阪大学>神戸大学 ≧ 北海道大学>大阪公立大学 ≧ 同志社>立命館 ≧ 滋賀大>関西学院=関西大学 ≧ 小樽商科大学 となっています。小樽商科大学は北海道では有名で就職に強く優秀な生徒が多いのは自明ですが、残念ながら関東や関西では知名度が低いです。
北大を諦めた場合や落ちた場合に、小樽商科大学に進学する方もいますが、関関同立・MARCHに進学する生徒も少なくありません。
- 京都大(京大) ノーベル賞受賞者 圧倒的No.1
- 大阪大(阪大) 国公立大学No.1の学生数
- 神戸大学(神大)名門の経営・国際 北大よりやや上
- 大阪公立大学(ハム大)都心で学べる 国公立大学No.3の学生数
- 関関同立 きれいなキャンパス、圧倒的な人数でOB・OGも多く就職後も有利
「東京以外」という選択肢
これまで「道外進学=東京」というイメージが強かった北海道ですが、近年は東京での家賃高騰もあり、東大・一橋大・科学大以外なら、関西の国公立大学を選ぶ生徒が増えています。
関関同立は札幌に受験会場が設けられますので、札幌で気軽に受験できます。
関東の大学では早・慶・上智・青山・立教大学は札幌に受験会場がないため、共通テスト利用方式以外は、東京に受験しに行く必要があります。
関西は
- 大学ごとのカラーが明確
- 都市間移動がしやすく生活圏が広い
- 文化・歴史・芸術・ビジネスが混ざり合う独特の環境
といった点で「学びの機会が豊富」だと捉える高校生が多いのです。
関西は「相性」がいい
関西の大学は自由な校風が多く、個性を尊重する傾向が強いため、
のびのび学びたい生徒にとって相性がいいという側面もあります。
また、関西弁が好きな北海道の人も多いのではないでしょうか。
関西の有名大学の特徴
京都大学(京大)
- 自由な校風=自主性が非常に要求される
- 基礎学問や研究に興味がある研究志向の生徒には最適
- 留学・国際研究の機会も豊富
- 京都の雰囲気がよい
- 京都は盆地なので、夏は暑く・冬は寒い
- 東大に匹敵し、就職活動においても北大よりも圧倒的に有利
- 自由な校風が札幌南高・西高と似ている(留年率も高い)
- 入試問題レベルは北大より圧倒的に難しい
京大に向くのは、いわゆる「自分の興味をとことん追求できるタイプ」。
周りのレベルが高く、心地よい刺激を受けながら成長できます。
大阪大学(阪大)
- 理系では工学の強さは特筆。
関西では名門公立校→阪大→パナソニックが王道ルート。 - 文系では阪大経済の強さが特筆。有名な研究者も多い。
外大と合併により外国語系も強い - 大阪の郊外にあるため関西では意外と人気がない
学生生活を謳歌したい京大あきらめ勢は神戸大にする傾向あり - 真面目な学生には最適な大学
- 入試問題レベルは北大より圧倒的に難しい
郊外にあるため誘惑が少なく、地に足をつけて努力するタイプが輝く環境です。
神戸大学(神大)
- 神戸といえば経営。あと国際系の強さが際立つ。
- キャンパスから海と街が近く、環境は抜群
六甲駅から登山をする必要があり大変(夜景・景色は秀逸) - 就職にも強く、文理問わず人気
- 文系の神大といわれるくらい。経営が圧倒的に強い。ただし、近年は見劣る。
- 関西ではおしゃれ大学として人気。
- 北大と同じ難易度の入試問題、偏差値であり、北大vs神大の争いが頻発。
- 入試問題レベルは北大と同等
文系で北大レベルの学力があり、関西で1人暮らしをしたい生徒に向きます。
大阪公立大学(ハム大)
- 大阪市立大学と大阪公立大学が合併。国公立大学No.3の学生数。
「公」の字から、ハム大と呼ばれる。 - 1年次は大阪城の近くに新設された森ノ宮キャンパスで快適な学生生活
都心は医学部(天王寺)、文学部・生活科学部(森ノ宮)。工学部は郊外。 - 京阪神落ちハム大が多いため、仮面浪人が一定数いる
- 関西圏の就職に非常に強い
- 学費が抑えられる(道外からでも魅力)
- 入試問題レベルは北大と同等
「国公立志向+関西で学びたい」という生徒の有力候補。
関西では大阪公立大学>同志社大学が明確な序列です。
関関同立(同志社・立命館・関西大学・関西学院)
- 私立の就職の強さが魅力
就職後もOB・OGが多く国公立よりも圧倒的に有利 - 総合大学であり多様な学部、留学制度がある
- キャンパスが美しく学生生活が充実
- 北海道からの進学者が意外に多い
立命館慶祥からは立命館に毎年160名進学
立命館慶祥の偏差値で立命館大進学できるのはお得
関西での関関同立の序列は、同志社> 立命館> 関西大学 ≒ 関西学院です。
関西学院の急速な地盤沈下が目立っており、東進の公開データでは立命館と関学の差が明確に開き、立命館大学>関西学院 が確定的になっており、2025年のデータではW合格者の約8割は立命館大学に進学しています。また、関大との差も縮小しており、2025年のデータでは 関西大学>関西学院 になり、約6割が関大に進学しています。
【ご参考】北野高校(大阪公立トップ高)の合格者数・進学者数(2025年)
関西のトップ高の生徒は、京大・阪大の滑り止めは同志社と立命、神大・ハム大の滑り止めを立命と関大or関学としています。合格者数と進学者数の違いが興味深いですね。
| 合格者数 | 進学者数 | |
| 同志社 | 151 | 11 |
| 立命館 | 89 | 7 |
| 関西学院 | 30 | 2 |
| 関西 | 27 | 2 |
| 早稲田 | 25 | 3 |
| 慶應義塾 | 13 | 4 |
メリット
「視野が広がる」
地理的にも文化的にも距離があるからこそ、北海道で育った人以外の人と出会うことで多様な価値観が大きく広がるという声が圧倒的に多いです。
就職の選択幅が広がる
関西圏は
- 企業数が非常に多い
- 東京・名古屋・福岡など移動しやすい
- 学生間・OB・OGの就職情報が豊富
- インターンの機会が豊富で、職業選択の幅が広がります。
北海道出身が強みになることも
北海道の人は「落ち着いていてまじめ。聞き上手。」という印象を持たれることも多く、人間関係でもプラスになるケースがあります。
デメリットと対策
生活コスト(家賃)が高い
札幌より家賃高いですが、東京と比べるとましです。
大阪・京都・神戸はエリアによって家賃や不動産手数料の慣習が大きく違いますので、大学生協や先輩の情報でエリアを絞るのがコツです。
遠距離による不安
道外進学に共通しますが、「すぐ帰れない」という点は不安材料ですが、今は オンライン面談・ビデオ通話で日常的に連絡 できます。
関西の”ノリ”に慣れる必要
関西のノリには多くの生徒は数ヶ月で慣れますが、やはり関西のノリはすごいです。関西人にとって北海道は憧れの旅行先であり、いい印象があります。また北海道の人は柔らかい話し方をしますので、受け入れられやすいという特徴もあります。
関西進学は特別ではない
札幌南高校のようにトップ校では2割近い生徒が関西の大学を選ぶという事実は、
「関西進学が特別なものではなく、ごく自然な進路の一つである」ことを示しています。
関西には、北海道にはない
- 文化の多様性
- 都市としてのスケール
- アカデミックな伝統
が息づいており、若者が成長するには最適な環境が整っています。
お子様が「関西へ行きたい」と口にしたとき、それは単なる憧れではなく、
自分で未来を選び取ろうとする前向きなサインであることがほとんどです。
北海道を出ることは勇気のいる選択ですが、
その一歩が大きな成長につながり、将来の可能性を飛躍的に広げることも事実です。
