【高校入試】自己推薦書の書き方〜構成・表現・チェックポイント

北海道の高校入試では、一般入試とは別に自己推薦入試(または特色ある入学者選抜)を実施している学校が多々あります。この推薦入試において、合否を大きく左右するのが自己推薦文です。

しかし、多くの受験生が「何を書けばいいかわからない」「自分の実績に自信がない」と悩んでいます。自己推薦文は、単なる作文ではなく、あなた自身を高校に売り込み、選んでもらうための重要な公式文書です。高校側は、この一枚の文章から、学力検査では見えないあなたの「人柄」「意欲」「将来性」を読み取ろうとしています。

この記事では、北海道の高校入試で面接官の心に響き、高く評価される自己推薦文を書くための全てのステップを、構成、内容の深掘り、表現方法、そして避けるべきNG例まで解説します。

なぜ自己推薦文が重要なのか

自己推薦文は、面接の前にあなたの第一印象を決定づける文書です。高校側は、以下の4つの視点から、あなたの文章を慎重にチェックしています。

  1. 本校への熱意と適性
    志望理由が明確で、学校の特色や学科・コースの学びに、あなたの目標が合致しているか。
  2. 主体性・継続性
    中学校生活で与えられた課題だけでなく、自ら考え、行動し、継続して努力した経験があるか。
  3. 成長力と貢献意欲
    あなたの強み(能力や態度)が、高校でさらなる成長を遂げ、学校にどのような形で貢献できるか。
  4. 文章力と誠実さ
    伝えたい情報を整理し、礼儀正しく、誤りのない日本語で表現できるか(社会性・基礎力)。

この視点を常に念頭に置いて書くことで、「頑張ります」で終わる曖昧な文章ではなく、「この生徒に入学してほしい」と思わせる説得力のある文章が完成します。

評価される自己推薦文の「3部構成」

自己推薦文は、論理的で伝わりやすい3部構成で書くのが基本です。この流れに沿って書くことで、読み手(面接官)はあなたの主張を自然に理解できます。

構成内容の役割記載するべき核となる情報
①序論:志望理由
(なぜ、この高校・
学科なのか)
推薦文の導入。結論を先に伝え、読み手の関心を引く。1. 志望校・学科を選んだ具体的な理由。
2. 中学校の自分と高校の学びがつながっていること。
②本論:強みと実績
(中学校生活で得た力)
推薦文の核心。具体的な経験で強みの裏付けを行う。1. あなたの最もアピールしたい強み(性格、能力)。
2. その強みを裏付ける具体的な中学校での活動(部活、委員会、学習、行事、家庭での役割、英検などの資格)。
3. 活動を通して得た「学び」や「成長」。
③結論:入学後の目標
と貢献(将来への展望)
まとめ。入学後の具体的な意欲と貢献の可能性を示す。1. 高校生活で取り組みたい具体的な目標(学習・部活・資格等)。
2. あなたの強みを高校生活でどう活かすか。
3. 高校卒業後の展望(将来の夢など)。

本論を深掘りする鍵(「具体性」の極意)

自己推薦文で最も差がつくのは、本論の「強みと実績」の部分です。ここでは、抽象的な表現を徹底的に避け、具体的なエピソードで文章に「重み」と「説得力」を持たせることが必須です。

抽象的な表現の置き換え

評価の低い表現(抽象的)評価の高い表現(具体的)
「私は努力するタイプです。」「3年間続けた朝学習では、毎日15分間の英単語練習を欠かさず行い、
 定期テストでの点数を平均10点上げることができました。」
「部活動を一生懸命頑張りました。」「野球部の活動では、レギュラーになれなくても、毎日の練習後の
グラウンド整備とボール磨きを3年間担当し、チームの裏方に徹する大切さを学びました。」

「5W1H」でエピソードを深掘りする

経験を記述する際は、次の要素を意識して肉付けすると、文章が立体的になります。

  • When(いつ): 中学何年生のときか、どの期間か。
  • Where(どこで): 教室、部室、地域など。
  • What(何を): どんな活動・役割だったか。
  • Why(なぜ): なぜその行動をとったのか(動機)。
  • How(どのように): どのように工夫し、取り組んだか(プロセス)。

成果と今後】
・ 経験を通して何を得たのか(点数、評価、精神的な成長)。
・それを高校でどう活かしていくのか。


構成別(内容を充実させるポイント)

志望理由(序論)の書き方

「どの学校にも使える」理由(例:家から近い、なんとなく雰囲気が良い)は評価が低くなります。必ず次の2つの要素を結びつけましょう。

  1. 高校への深い理解を示す
    • その学校の教育目標、校訓、学科のカリキュラムを調べ、具体的に言及する。
    • 学校見学や説明会で感じた具体的な魅力を述べる。
      実際に学校行ったことはプラスポイントなので、まだ学校見学や説明会に行っていない場合は実際に行っておきましょう。先輩などと話ができたなら文章に織り込むのも手です。
      例:先生の熱意、先輩の態度、設備の充実など
  2. あなたの目標と接続する:
    • 「私は将来、○○の仕事に就きたい。そのためには本校の□□科で学べる△△の知識が不可欠だと考えた」のように、自分の未来の目標を軸に据える。

自分の強み・実績(本論)の書き方

実績が乏しいと感じる人でも、視点を変えれば必ず強みが見つかります。

表面的な実績掘り下げるべき強み(高校が求める資質)
委員会活動の経験がない家族や地域での役割、礼儀正しさ、地道な継続力
運動・数学などが苦手苦手科目克服への計画的な取り組み、粘り強さ
目立った資格や賞がない周囲との協調性、人のために動ける優しさ、チームでのサポート役

【強みを伝える流れ】

①結論
私の強みは、課題に向き合い続ける「粘り強さ」です。

②具体例
私は苦手意識のあった数学を克服するために、週に3回は必ず休み時間や放課後に友達や先生へ質問し、理解できるまで取り組むことを自分に課してきました。

③学び・成長
その結果、数学の点数が向上しただけでなく、疑問をその場で解決しようと行動する主体性が身につき、他の教科の点数も上がりました。

④高校からの活かし方
この粘り強さを高校でも活かし、難しい課題にも逃げずに挑戦し続け、着実に力を伸ばしていきたいと考えています。

入学後の目標・貢献(結論)の書き方

結論は、あなたが「自律的で意欲的な生徒」であることを印象づけるチャンスです。単に「頑張る」で終わらせず、「何を」「どのように」達成したいかを具体的に述べます。

  • 学習面
    「○○資格の取得を目指し、定期的な復習と予習を欠かさず行います」
    「苦手な△△の分野も克服するため、進んで補習に参加します」
  • 活動面
    「中学校で培った協調性を活かし、文化祭では実行委員に立候補し、クラスをまとめる役割を担いたい」
    「部活動では、競技力だけでなく、後輩の指導にも積極的に取り組み、チームに貢献したい」
  • 将来の夢への接続
    最終的に、高校での学びがあなたの将来の夢にどう繋がるかを簡潔に述べ、強い意欲で締めくくりましょう。

評価を下げる「NG表現」と改善策

どれだけ内容が良くても、書き方や表現ミスで評価が下がることがあります。

NG表現の例評価が下がる理由改善策
「頑張ります」
「努力します」
抽象的で主体性が見えない。「〜を達成するために、具体的な計画を立てて取り組みます」「〜を粘り強く継続します」
他校でも使える志望理由本校への熱意が伝わらない。具体的な学校の理念や方針、学科名、部活など、「その学校固有の要素」を入れる。
ネガティブすぎる表現前向きな意欲が感じられない。弱みを書くときは、必ず「しかし、改善のために〇〇という努力をしています」と改善の姿勢をセットにする。
他人任せな表現主体性に欠け、依存的な印象を与える。「〜させてもらいたい」
「〜してもらいたい」ではなく、「〜に取り組みます」「〜に貢献します」と能動的な表現にする。
誤字脱字・乱雑な文字丁寧さに欠け、提出書類としての意識が低いと見なされる。提出前に必ず時間をかけェックする。清書する前に下書きで確認する。

✍️ 文章の質を高める5つのテクニック

文章の内容だけでなく、読みやすさも評価の重要な要素です。

  1. 1文を短くまとめる
     目安は 40〜50 文字程度。長い1文は主語と述語の関係が曖昧になり、意味が伝わりにくくなります。簡潔な表現を心がけましょう。
  2. 主語と述語を明確にする
     曖昧な主語(「誰が」「何が」)や、途中で途切れる述語(「〜したことで」で終わるなど)は避け、「私は〜に取り組みました」のように、文法的なつながりをはっきりさせましょう。
  3. 表現に変化をつける
    「〜です。〜です。〜です。」と同じ語尾が続くと単調になります。「〜と考えています」「〜できるよう努力します」「〜に強い関心を持ちました」などで変化をつけると、文章にリズムが生まれます。
  4. 接続詞を効果的に使う
    「しかし」「したがって」「なぜなら」などの接続詞を適切に使うことで、文章の論理的な流れが明確になり、説得力が増します。
  5. 指定された様式(文字数・枠)を厳守する 
    指定された文字数より少なすぎたりするのはNGです。指定された文字数・枠内まで、がんばって書く能力も大切です。逆に文字数をオーバーするのはやめましょう。

仕上げの最終チェックリスト

提出する前に、以下の項目を必ずチェックし、完成度を高めましょう。

必須チェック確認事項
熱意と適合性志望理由がその高校・学科に特化しているか。
具体性強みや経験が具体的なエピソードで裏付けられているか(5W2H)。
主体性「〜したい」だけでなく、「〜する」という能動的な表現を使っているか。
将来性高校での目標が明確で、今後の成長が期待できる内容か。
文章表現誤字脱字、送り仮の間違い、不適切な敬語がないか。
読みやすさ1文が長すぎないか、改行(あれば)や段落分けで視覚的に読みやすいか。
第三者の視点家族や先生など第三者に読んでもらい、矛盾点や改善点がないか確認したか。

まとめ

自己推薦文は、あなたの過去の努力、現在の強み、そして未来への意欲を一貫したストーリーとして伝える場です。

大切なのは、完璧な実績ではなく、地道な努力や誠実な姿勢、そして「この高校で学びたい!」という強い気持ちです。自分の強い気持ちが伝わるためには、どのように表現すれば良いのか、考え抜きましょう!

この記事を参考に、あなたの魅力を最大限に引き出し、「あなたにしか書けない」合格につながる自己推薦文を作り上げてください!!