【高校入試】札幌南・札幌西 内申ほぼ関係しない

北海道の公立高校入試では、「内申が強く影響する」「内申が合否を左右する」とよく言われます。確かに、中堅校以下を志望する場合、教師や塾の多くの方が勧める“内申重視”のアドバイスは有効です。

しかし、札幌南・札幌北・札幌西といったトップ校を目指す生徒に対しては、内申の影響力が比較的小さいにもかかわらず、内申を過大に評価した進路指導が行われることがあります。内申Aランクの生徒が多く集まるトップ校では、内申のアドバンテージが薄まりやすく、内申が悪くても実力さえあれば合格できることを理解しておくことが必要です。

■ トップ校志望者が誤解しやすいポイント
◎ 「内申が低いからトップ校は無理」→ 誤り
◎ 「Aランクじゃないから諦める」→ 誤り
 内申の差が実質的に小さくなるため、学力が合格ラインを超えていれば合格可能。

とりわけ、「内申0:試験10」枠の設定である札幌南・札幌西を目指す生徒は、内申ランクが悪いからといって諦める必要はありません。例年、札幌南・札幌西は内申0:試験10枠が合格最低点となっていますので、最終的な合否は本番の試験次第となる可能性が高いからです。あと、道コンの合格確率はトップ校志望者で、特に内申ランクが悪い場合は参考にならないです。道コンの合格確率算出のトリックで殆ど意味をなしていません。詳しくは最後部に記載しています。

この記事の結論としては、札幌南・札幌西を志望する生徒は内申ではなく、実力(道コンSS・学テABC)を参考にして受験するか判断することが適当であるということです。

以下では、具体的な数字を交えながら「内申がどのくらい有利に働くか」「なぜそのような構造になるか」を解説します。

内申の換算とその重み

  • 中学校の内申は 315点満点
  • 一方、入試本番は 500点満点
  • 内申点と入試本番点が原則として50%:50%で評価。
  • 実際は入試の点数を315点に換算しますが、ここでは内申の影響をわかりやすくするために、逆に内申を500点満点にして考えると、 500 ÷ 315 ≒ 1.59… ≒ 約1.6倍
    つまり、 内申1点=入試本番で約1.6点相当。になります。
  • さらに中3の内申は重みが3倍と見なされるため、 中3の内申1の違い=本番で約4.8点 に相当します。これは小問1問分以上の重みがあるため、無視できない影響力です。

トップ校(札幌南・札幌西)における内申と合格パターン

(1) 合格者における内申分布

  • トップ校は 内申が高い生徒(Aランク) が殆ど。
    札幌南では約9割がAランク、札幌西では約7割がAランク を占める。
    内申点平均は札幌南304点、札幌西299点。
  • 札幌南では 315点中310点以上(Aランク上位) 
    札幌西では 304点以上(Aランク中位) でないとアドバンテージほぼない。

→ トップ校の合格ラインでは 「内申がほぼ満点に近い人」が多数を占め、アドバンテージが限定的 という構造になります。トップ高における内申をの影響度を分類したとき、以下のようになります。

内申ランク南高西高
Aランク 上位
(310点〜315点)
アドバンテージ
若干あり
アドバンテージ
あり
Aランク 中位
(304点〜309点)
ほぼなし若干あり
Aランク 下位
(296点〜303点)
なしほぼなし
Bランク以下なしなし

(2) 合格枠の仕組みと順序

合格者決定者は次の順序の枠で決定されていきます。

  1. 内申:入試 = 5:5(合格者の70%)枠
  2. 内申:入試 = 6:4(合格者の15%)枠
  3. 内申:入試 = 0:10(合格者の15%)枠
  • 内申が満点近い生徒ほど、本番でも高得点を取る生徒が多い(強い相関関係)ので、
    内申が良い生徒ほど最初の5:5枠で合格していきます。
  • 内申が満点近い生徒で、本番で合格者平均よりもできなかった生徒は6:4枠で合格する可能性があります。内申が満点近い生徒は6:4枠で内申のアドバンテージがあります。

(3) 合格最低点の傾向

  • 合格最低点は 、例年「内申0:入試10」の枠の生徒になる傾向 です(今後も同じになるかはわかりません)
    本番の入試の点数で最終合格者の合否が決まります。
    つまり、合否の別れ目は本番の入試となります。

札幌南・札幌西のようなトップ校においては、内申が満点に近いAランク高位者・中位者であれば多少有利になりますが、それ以外の生徒は結局は本番の入試の点数次第というのが実情です。


【ご参考】道コン合格率の問題点

北海道学力コンクール(道コン)の合格率は、トップ高(札幌の南高・北高・西高・東高)の場合、ボーダーを起点(合格率50%)として設定されています。ボーダーは過去の入試で合格者と不合格者が同数程度のラインとなっています。

ボーダーを起点に、SSが1ごとに8%上下、内申1点ごとに1%上下させる簡易的な方法で合格率を算出しています。

これが道コンの合格率の問題点になります。

・SSが1上がると、合格率8%が常に上がるのか?(等差で上昇していくわけがない)
・内申1点上がると、合格率1%が常に上がるのか?(等差で上昇していくわけがない)
・受験者層も倍率も違う東西南北のどの高校の合格率においても、
 SSの1の差が合格率8%分と同じなのか、学校裁量も異なるのに?

直感でも正しくない(正確ではない)と理解できるのではないでしょうか。

正確な合格率算出ではないため、内申評価点の両端の生徒ほど歪みが生じます。
・内申がAランク上位者(満点に近い生徒)は合格率が実際よりは低く出ます
・内申がBランク以下の人は合格率が実際より極めて低く出ます

結論として、道コンの合格率を参考にして志望校を決めるのは適当ではないと思います。