【新設】札幌市立彩輝高校〜高校受験の勢力図が変わる?

2027年4月、札幌市に新しい市立高校「札幌彩輝高等学校」が開校します。

札幌藻岩高校と札幌啓北商業高校を発展的に再編して誕生する彩輝高校は、単なる「新しい高校」ではありません。

普通科に相当する未来デザイン科と商業科に相当するビジネスイノベーション科が併設されます。また、単位制による柔軟な学び、探究学習、地域・企業・大学との連携など、これまでの札幌市立高校とは異なる教育を打ち出しています。

そして、彩輝高校を考えるうえでもう一つ重要なのが、札幌圏の高校受験を取り巻く環境そのものが変化する可能性もあります。

高校授業料の実質無償化によって私立高校を選択する家庭が急増する状況の下で、札幌市立高校では2027年度に新設校である彩輝高校が誕生します。

札幌彩輝高校とは?2027年4月開校

市立札幌彩輝高等学校は、札幌藻岩高校と札幌啓北商業高校を発展的に再編して誕生する新設校です。

札幌市教育委員会は、2027年4月の開校を予定しており、現在の札幌藻岩高校の敷地に新校舎を整備する計画を進めています。

「彩輝」という名前には、多彩な個性を持つ生徒たちが、それぞれの色で輝き、自分たちの手で多彩な未来を創っていってほしいという願いが込められています。校名の公募には2,169件もの応募がありました。

彩輝高校の1学年の定員は、普通科にあたる「未来デザイン科」が200人、商業科にあたる「ビジネスイノベーション科」が120人です。

つまり、1学年320人規模の学校になります。

札幌彩輝高校には2つの学科を設置

札幌彩輝高校には、「未来デザイン科」と「ビジネスイノベーション科」の2学科が設置されます。

未来デザイン科(普通科)

未来デザイン科は、定員200名の普通科です。

「ありたい未来の姿」を描きながら、他者と協働し、それを実際の形にできる人を育てることを目指しています。

一般的な教科の学習だけではなく、探究活動や体験、社会とのつながりを重視した学びが特徴です。

ビジネスイノベーション科(商業科)

ビジネスイノベーション科は、定員120名の商業科です。

地域や社会に変化を生み出し、未来のビジネスをリードできる人材の育成を目指します。

商業分野の専門性を学びながら、地域や企業などとの関わりを通して、実社会で役立つ力を身につけていくことが期待されています。

さらに特徴的なのは、未来デザイン科とビジネスイノベーション科の生徒が混合でクラス編成され、両学科の専門性を生かした学びが行われる点です。

普通科と商業科を単純に分けるのではなく、それぞれの強みを組み合わせることで、新しい価値を生み出すことを目指しています。

札幌彩輝高校の大きな特徴「単位制」

札幌彩輝高校の大きな特徴の一つが、単位制による柔軟な時間割です。

卒業に必要な単位数は74単位以上。一方、進学に向けてより多くの授業を受けたい生徒は、3年間で最大93単位まで授業を選択できます。

つまり、全員が同じ時間割で学ぶのではなく、自分の進路や興味・関心に合わせて学び方を考えられる仕組みです。

「大学進学を目指したい」「専門的な商業分野を学びたい」「興味のある教科を深く学びたい」など、一人ひとりの目的に合わせた高校生活を設計しやすい点が魅力といえるでしょう。

また、月曜日と金曜日は4時間授業の日が設定されており、放課後に好きなことへ取り組める時間も確保されています。

札幌彩輝高校の「探究学習」

札幌彩輝高校では、「つながる・集める・深める」をキーワードにした探究的な学びが展開される予定です。この探求学習は、大学入試の総合型選抜試験では重要な位置付けとなることが少なくなく、この点でも期待されます。

1年次には探究するための考え方や情報の集め方、分析方法などを学び、2年次には専門性を生かした協働探究、3年次には学びをまとめながら専門性をさらに磨くという流れが示されています。

単に知識を覚えるだけではなく、「なぜそうなるのか」「社会とどうつながっているのか」を考えることを重視しているのが特徴です。

例えば、国語では哲学対話、家庭ではクッキングラボ、商業では商品開発と流通、芸術では芸術総合など、教科の枠を越えた学びも予定されています。

実際の体験をした後に振り返る時間を設け、体験を知識だけで終わらせず、自分自身の学びへとつなげていくこともポイントです。

地域・企業・大学とつながる「コンソーシアム」

札幌彩輝高校では、生徒の多彩な活動を支えるため、「彩輝高校版コンソーシアム」という仕組みを構築する予定です。

地域や社会と学校をつなぎ、企業や大学など、さまざまな大人が生徒の活動に伴走します。

さらに、藻岩山を探究の実践舞台とし、自分自身の成長を実感できる「Peak Project(ピークプロジェクト)」も計画されています。

高校の中だけで完結する学習ではなく、地域社会そのものを学びの場として活用することが、札幌彩輝高校ならではの魅力になりそうです。

学校教育目標は「つながりを力に。未来を彩り輝かせる冒険者へ。」。

自分自身を知ること、さまざまな人とつながること、実際の社会に触れることを大切にし、「まずやってみる」「一人で抱え込まず仲間と進む」ことのできる人材の育成を目指しています。

従来型の高校教育だけではなく、地域や企業、大学などとのつながりを生かしながら、生徒自身が未来を考え、行動することを重視している点が大きな特徴です。

前身校の倍率だけでは彩輝高校の人気を予測できない

ここが2027年度入試で最も重要なポイントです。

彩輝高校は前身校の入試データを持っています。しかし、彩輝高校そのものには過去の倍率がありません。このため、2027年度の受験生は、「昨年は何倍だったのか」、「何点くらいで合格したのか」という通常の高校選びで使える情報を十分に持っていません。これは受験生にとって不安材料でもあります。

一方で、新設校だからこそ人気が出る可能性もあります。新しい学校名、新しい教育内容。そして、普通科と商業科を組み合わせた学科構成、単位制、探究学習、地域・企業との連携など、従来の公立高校とは少し違った学校づくりが行われています。

このため、初年度の入試では「前身校の人気」だけではなく、「新設校への期待」が上乗せされる可能性があります。これが初年度なのか、2年目、3年目になるのかまではわからないですが。

「新設校だから入りやすい」とは限らない

新設校について受験生が注意したいのは、「過去の倍率がないから入りやすい」とは限らないということです。

むしろ逆に、「新しい学校だから受けてみたい」、「探究学習が面白そう」、「普通科と商業科の両方の学びができるのが魅力」という受験生が集まれば、初年度から倍率が上昇する可能性があります。

特に彩輝高校では、生徒が学校行事や学校の未来を考える活動にも関わることが想定されています。

札幌市のFAQでは、「彩輝みらいフォーラム」や「学びの彩展」など、生徒が実行委員会形式でアイデアを出しながらつくり上げる行事も紹介されています。

こうした「新しい学校を自分たちでつくる」という魅力は、既存校にはない新設校ならではのものです。

月寒・新川・国際情報からの志望変更にも注目

ここで、札幌圏の高校受験を考えるうえで非常に興味深い動きが出てくる可能性があります。

それが、札幌月寒高校、札幌新川高校、札幌国際情報高校などを志望していた受験生の一部が、彩輝高校を比較対象にするケースです。

もちろん、現時点で「月寒から何人」「新川から何人」という具体的な志望変更数を示すデータはありません。

未来デザイン科の教育内容を見ると、大学進学だけを目的とする普通科とは違う魅力があります。

「進学もしたい。でも、探究や地域活動もしたい。総合型選抜に有利になる」、「普通科の勉強だけではなく、ビジネスにも興味がある」、「将来の進路を高校生活の中で見つけたい」という受験生にとって、彩輝高校は比較対象になり得ます。

特に国際情報高校を検討する層には、情報・ビジネス・実社会との接点を重視する生徒もいるため、ビジネスイノベーション科を含めた彩輝高校の教育内容がどの程度評価されるのかは注目ポイントです。

清田・平岸・北陵からの「チャレンジ」もあり得る

一方で、清田高校、平岸高校、北陵高校などを検討している受験生から、彩輝高校へのチャレンジが生まれる可能性もあります。

これらの高校を志望する層にとって、彩輝高校は「全く関係のない学校」ではありません。

むしろ、「新設校だから挑戦してみたい」「私立高校無償化なので落ちても学費の影響も小さくなったので、挑戦してみたい」という強気の考え方が出てくる可能性があります。

特に新設校は前年の合格最低点や倍率がないため、受験生の心理として「自分の現在の学力ならどこまで挑戦できるのか」を考えにくい反面、学校の教育内容に強く惹かれればチャレンジする理由にもなります。

このため、2027年度の彩輝高校は、単純な学力序列だけでは予測しにくい学校になる可能性があります。

ただし「人気化=高偏差値化」とは限らない

ここは受験生・保護者が注意したいところです。倍率が高くなったからといって、必ずしも偏差値が大きく上昇するわけではありません。

また、新設初年度は受験生の志望動向が読みにくいため、倍率が高くても、学力層がどこまで上がるのかは別問題です。

そのため、「藻岩高校の偏差値+新設校人気=彩輝高校の偏差値」という単純な計算はできません。

あくまでも、「前身校の学力層」、「現在の札幌圏の高校受験動向」、「模試での志望者数・偏差値」、「学校説明会への参加状況」、「出願前の倍率」などを総合して判断する必要があります。

2027年度の高校受験を考えるなら、彩輝高校だけを見ていてはいけません。

札幌圏の高校受験全体を大きく変えているのが、私立高校の授業料負担軽減です。

北海道教育委員会は2026年度の高校授業料無償化の影響を分析し、私立高校への進学者が前年度より936人増加する一方、公立高校の入学者は951人減少したと公表しています。

結果として、約1,000人規模で公立から私立へ進学先がシフトしたと分析されています。

さらに、高校1年生に占める私立高校生の割合は30.2%となり、過去10年間で最大の伸びとなりました。

これは札幌圏の高校受験を考えるうえで、非常に大きな変化です。

これまでは、

「公立高校を第一志望にして、私立高校を併願する」

という受験パターンが一般的でした。

しかし、授業料負担が軽減されることで、

「私立高校を第一志望にする」

「公立と私立を以前よりフラットに比較する」

という家庭が増える可能性があります。

つまり、公立高校にとって私立高校は「滑り止め」というだけの存在ではなくなりつつあります。

まとめ|札幌彩輝高校はどうか

2027年4月に開校する市立札幌彩輝高等学校。

札幌藻岩高校と札幌啓北商業高校の特色を受け継ぎながら、普通科と商業科を併設し、単位制、探究学習、地域・企業との連携など、新しいタイプの市立高校を目指しています。

一方、札幌圏の高校受験環境は大きく変化しています。

特に2026年度は、私立高校の授業料実質無償化の影響もあり、北海道全体で公立高校から私立高校への進学シフトが確認されました。北海道教育委員会の速報では、私立高校1年生の割合が30.2%まで上昇しています。

こうした中で登場する彩輝高校は、札幌市立高校の新しい方向性を象徴する学校ともいえます。

2027年度入試では、月寒高校、新川高校、札幌国際情報高校などを志望していた層が彩輝高校の教育内容に魅力を感じて志望変更する可能性があります。

また、清田高校、平岸高校、北陵高校などを志望していた受験生が、新設校へのチャレンジを選択する可能性もあります。

もちろん、現時点ではこれらはあくまで予測です。

しかし、新設校であること、普通科と商業科を併設すること、単位制を採用すること、探究・地域連携を重視すること、そして私立高校無償化によって高校選択そのものが変化していることを考えると、2027年度の札幌圏高校入試において彩輝高校が大きな注目を集めることは間違いありません。

「どの高校に入るか」だけではなく、「高校で何を学び、どんな3年間を過ごしたいのか」。

大学受験は、旧来型の学力だけの一般入試は約4割しかに過ぎなくなっています。探求学習や各種活動などで総合型選抜が増えている中で、新設校での新しい学びは大学受験にとって少なからず有利に働くとも考えられ、この観点でも札幌彩輝高校は非常に気になる存在になりそうです。

今後は、彩輝高校の学校説明会、募集要項、出願状況、各種模試、学テABCにおける志望者動向などを確認しながら、志望校としての位置づけを考えていく必要があります。

2027年度の札幌圏高校入試。

その中で「彩輝高校がどの層から支持されるのか」は、札幌市内の高校受験を考えるうえで、非常に重要なポイントになりそうです。