北海道学力テスト総合ABC結果〜入試に向けて

北海道の学力テスト総合A・B・Cとは

北海道の中学校では、中学3年の秋の9月・10月・11月に学力テストが行われます。
いわゆる「北海道 学力テストABC」です。各教科とも標準問題で構成されていますが、難易度に差が出ます。

※2025年度の速報
【学力テストA】 全体的にやや難。特に英語・理科。国語は易。
【学力テストB】 全体的には標準。英語・理科は点数が取りにくい。
【学力テストC】 全体的には標準からやや難。英語・理科がやや難。

全体
学テAやや難標準やや易やや難やや難
学テB標準やや易やや易やや易標準標準
学テC標準やや易やや易やや易やや難やや難

■各科目90点の偏差値(道コン換算SS)

全科
学テA696267657070
学テB666563646666
学テC676762626870

■各科目80点の偏差値(道コン換算SS)

全科
学テA635662616565
学テB615958596262
学テC626058586365

各科目70点の偏差値(道コン換算SS)

全科
学テA585058566161
学テB565254545857
学テC575454535960

各科目60点の偏差値(道コン換算SS)

全科
学テA544353525656
学テB524650495453
学テC514750485555

(出所) 2025年 道コンSS換算データ
 https://www.do-con.com/data/index.html

このテストは、北海道内の中学3年生の実力を測ることができるため、高校出願の重要なデータになります。やはり公立高校入試との相関もありますので、結果を踏まえて志望校を選択する必要があります。
しかしながら、本番の公立高校入試と違いもあります。
学力テストABCは標準レベルの問題で構成されているため、本番で点数が取りやすい基礎問題(一問一答など)が出題されていない、一方で新傾向の問題(問題集であまり見かけない問題)や、やや難しい問題、そして高校につながる頻出テーマ(数学だと三平方の定理、円の性質)が出ていませんので、まだまだ逆転する可能性が十分にあることも確かです。
残り短い期間ですが、がんばって志望校に合格しましょう!まだ逆転可能です!!

1. 学力テストABCの目的

「北海道総合学力テストABC」は、北海道教育委員会の主導のもと、中学3年生の学力の現状を把握することを目的として実施される学力調査です。試験問題は、一般財団法人北海道教育文化協会が作成しています。

このテストは、全国的に行われている標準的な学力調査(たとえば「全国学力・学習状況調査」)と同様に、教育の質の向上や指導方法の改善を目的としています。さらに、北海道独自の出題形式や地域の特色を反映した内容を盛り込むことで、地域に根ざした教育課題をより具体的に明らかにすることを目指しています。

特に、北海道という広大な地域には、都市部と農村部、また地域ごとに教育の環境が大きく異なるという特徴があります。このため、学力テストABCは、地域差を解消し、教育の均等を進めるための指針となるデータを提供する役割を担っています。

2. テスト内容と実施方法

「学力テストABC」では、国語、数学、社会、理科、英語に関する問題が出題されます。これらのテストは、北海道の公立高校入試と同じ形で設定されています。

各科目 50分、100点満点

国語、数学、社会、理科、英語(ヒアリングあり)の順番で行われます。

テストは紙ベースです。問題は、基礎的な内容から標準問題に至るまでの幅広い範囲をカバーしており、生徒が学んだ知識や技能がどれほど定着しているかを測ることができます。

北海道の公立高校入試問題と比べて、基礎問題は少なめ、標準問題は多め、難しい問題は殆ど出ません。

【令和7年度出題範囲】理科・社会

理科ABC
1分野身の回りの物質×
身近な物理現象×
化学変化と原子・分子×
電流×
化学変化とイオン×
運動とエネルギー××
2分野いろいろな生物×
大地の成り立ちと変化×
生物の体のつくりと働き
気象とその変化×
生命の連続性×
地球と宇宙×××
社会ABC
地理世界と日本の地域構成
世界の諸地域×
地域調査・日本の地域的特色×
日本の諸地域×
歴史歴史
公民現代社会・個人の尊重と日本国憲法
人権保障・平和主義・政治(政党・選挙)×
国会・内閣・裁判所・地方自治××

3. 学力テストABCと北海道公立入試の相関

学力テストABCと公立入試結果は、極めて強い相関関係があります。

札幌市内のある中学校における分析結果によると、相関係数は0.9を上回っており学力テストの結果と入試結果は似たような結果になる可能性が極めて高いです。こうした状況を踏まえて、各中学校において、公立高校、私立高校の志望校の進路資料として活用されています。

・学力テストで5教科300点未満の生徒は、公立高校入試では点数が上がる傾向です。公立高校入試の方が、基礎的な問題が多く学力テストより点数が取れるようです。

・学力テスト300点台の生徒は、点数の変動は殆どあません。公立高校入試の方は基礎的な問題が多いですが、一方で難しい問題も多いため、いってこいで結局は点数があまり変わらないことが多いです。

・一方で学力テスト400点台の生徒は、公立高校入試では点数が下がる傾向です。学力テストより公立高校入試の方が、難しい問題が多くなるため落とす問題が増えるからです。特に学力テスト450点以上の生徒は下がっています。

4. 学力テストABCからの挽回は可能か?

学力テストABCからの挽回は難しいことは確かですが、挽回は可能です。

なぜなら、学力テストABCは公立高校入試の全範囲を満たした問題ではないからです。

例えば、数学では公立高校入試に頻出する円、三平方の定理、三角形の相似条件が学力テストでは出ません。
これらの分野は高校以降にも極めて大切な範囲であり、入試問題に出してくる傾向があります。

特にボーダーにいる生徒、ボーダーよりやや下の生徒は、残り3ヶ月(12月、1月、2月)のがんばり次第で合格か不合格かにわかれます。高校受験では、ボーダーより下でも残り3ヶ月で逆転できる生徒を多々見てきました。自分を信じて努力を重ねていきましょう!

5. 学力テストの意義と教育への影響

学力テストABCの実施は、単なる成績を評価するものではなく、教育の改善に直結する重要な役割を果たしています。テスト結果を基にした教育改革が進められることで、以下のような具体的な効果が期待されています。

  • 北海道公立高校入試の参考
    学力テストABCが行われることで、生徒は自分の学力がどの程度にあるかを実感することができます。この結果は、公立高校入試の参考資料となり学習意欲の向上にもつながり、生徒自身が自分の学習を意識的に見直すきっかけになります。
  • 教育プログラムの改善
    テスト結果に基づいて、各中学校、教師はどの教科・単元に特に力を入れるべきか、またはどのような指導方法を採用すべきかを見直すことができます。これにより、より効果的な教育プログラムや指導が進み、個々の生徒に適した教育が行われます。
  • 学力の地域差の状況把握
    北海道内には、都市部と地方の学校で学力に差があるという現実があります。学力テストABCを通じて、その差がデータとして可視化され、効果的な支援策が講じられることが可能となります。

6. 課題と今後の展望

もちろん、学力テストABCにも課題は存在します。公立高校入試問題と学力テストABCの難易度や内容の傾向の違いがあります。特に、学力テストは新傾向問題が少なく、テスト内容が従来的であります。今後は、学力テスト内容の改善や、より個別化された支援方法の導入が求められるでしょう。